tohnishi’s blog

四国在住のアラフォーSE。見た目はオッサン、頭脳は大人。

『ウェブ炎上』感想

これまた少し前に図書館で借りた本だが、『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)』(荻上チキ著)を読了。本書は現在でも頻発してやまないネットでの「炎上」を、「サイバーカスケード」という用語を用いて、功罪両面を持つ現象として説明・分析を試みている。当時(~2007年)に起こった具体的な事件の解読や、著者自身のネット上での活動事例を引用することで、「サイバーカスケード」について説得力を持たせながら分かりやすく説明できていると思う。

しかし本書が出版されたのは約8年前の2007年であり、さすがに2015年も末となっては若干古臭い感じがしてしまうのは仕方ないところだろう。例えば本書で挙げられているSNSの例はグリーやミクシィだし、「Web 2.0」という流行語にまだ多くの人間が希望と期待を託していた時代である。「サイバーカスケード」など本書で述べられたことの本質は現在でも変わらず通用するとはいえ、最新の状況を追っかけてより実用的な議論を深めたいのであれば、著者の近著や他の類書を参照したほうが手っ取り早い。

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)