tohnishi’s blog

四国在住のアラフォーSE。見た目はオッサン、頭脳は大人。

『「原因」と「結果」の法則』感想

嗚呼久々。週末に幼児二人を引き受けて留守番していた時、暇だけどそれほど集中もできないので、以前読んだ本のことを思い出してみた。というわけで、今回はジェームズ・アレン著『「原因」と「結果」の法則』である(カギ括弧が多い)。『読書で賢く生きる。 (ベスト新書)』の中で、漆原直行氏が「自己啓発書はこれだけを読んでおけば十分だ」として挙げた3+2冊に含まれていたので、とりあえずチェックしていた。Kindleオーナー ライブラリーに収録されているのを発見したので、2か月ほど前に読了。

本書は1902年に書かれた自己啓発書の元祖的存在ということで、内容もいたってシンプルである。私たちが心に思ったことが「原因」となって、現実世界に「結果」となって現れる。これは宇宙の法則によって決まっているので、さあ皆さん頑張りましょうと、だいたいこんな感じだろうか。この「原因と結果の法則」はアプリオリなものとして、特に存在証明をすることもなく論考は進むし*1、後世の自己啓発書のように様々な事例紹介を用意して、説得力を増そうともしていない。

だから21世紀の日本に生きる私のような中年オッサンからすると、「原因と結果の法則ですか、そんなものが本当にあったらいいですなぁ」なんて思いながらササッと読み流す感じになってしまうのだが、まあ実践的な話は他の書物で補完することにすればよい。しかし世の中にはこのような、自己啓発のエッセンス的なものを全く持たずに生きている人間も見受けられるわけで、そういう人には本書などを手始めに読ませられるものなら、ぜひ読ませてみたいなんて思う訳である。

ちなみに『読書で賢く生きる』の方は、著者3人の対談部分が面白くて、今でもたまに読み返す。購入当時はビジネス書とか自己啓発書それ自体にはあまり興味はなかったのだが、人生の折り返し地点を過ぎて後半戦に入った今となると、この辺りの基礎的なことは押さえておいた方がよいかと思い始めたりしてきている。

 

「原因」と「結果」の法則

「原因」と「結果」の法則

 

 

読書で賢く生きる。 (ベスト新書)

読書で賢く生きる。 (ベスト新書)

 

 

*1:あまりに自明なものとされ過ぎているのは、これが何か宗教的なバックグラウンドに担保されているのだろうか? その辺りはちょっと読み取れなかった。

『ウェブ炎上』感想

これまた少し前に図書館で借りた本だが、『ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)』(荻上チキ著)を読了。本書は現在でも頻発してやまないネットでの「炎上」を、「サイバーカスケード」という用語を用いて、功罪両面を持つ現象として説明・分析を試みている。当時(~2007年)に起こった具体的な事件の解読や、著者自身のネット上での活動事例を引用することで、「サイバーカスケード」について説得力を持たせながら分かりやすく説明できていると思う。

しかし本書が出版されたのは約8年前の2007年であり、さすがに2015年も末となっては若干古臭い感じがしてしまうのは仕方ないところだろう。例えば本書で挙げられているSNSの例はグリーやミクシィだし、「Web 2.0」という流行語にまだ多くの人間が希望と期待を託していた時代である。「サイバーカスケード」など本書で述べられたことの本質は現在でも変わらず通用するとはいえ、最新の状況を追っかけてより実用的な議論を深めたいのであれば、著者の近著や他の類書を参照したほうが手っ取り早い。

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

 

 

『なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』感想

なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術』を、以前に図書館で借りて読了したので、感想を書いておく。少し前に本書が評判になったのは覚えていたが、実際に本書を借り出してみたら、「あれ、こんな内容だったのかー」って少し驚く羽目になった。図書館では帯が外されていたから、女性弁護士が主人公のストーリー仕立てだと外見からは分からなかったのだ。

 

しかし内容は意外とまともで、ITシステム開発プロジェクトにありがちなトラブルについて、実際の裁判事例を踏まえて一通り網羅的に解説しているし、章末のチェックリスト等も割と実用的だと思う。残るは主人公が美貌の完璧超人というライトノベル的なストーリーの是非であるが、さすがにこれだけを目当てに何度も読み返すようなことはないだろうけど、導入の手助けになっているのは間違いないから、まあこれはこれで良いんじゃないかと。各セクションの冒頭にある人物のイラストが、実際に本文に出てくる人物と大きく食い違ってたり、また舞台の場所説明が間違ってたりするところが散見されるのが、そういうクオリティが気になる方には大きい減点対象になるかもしれないが、そうでなければ十分許容範囲だろう。

以上、私個人としては意外に手元に置いておいて損はないと思われたので、点をつけるなら星4つで。(甘いか?)

 

なぜ、システム開発は必ずモメるのか?  49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術

なぜ、システム開発は必ずモメるのか? 49のトラブルから学ぶプロジェクト管理術

 

 

『角川インターネット講座 (2) ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化』感想

久々の更新。最近子供たちの付き添いで市立図書館に行くので、自分も少しずつ本を借りて読むようにしている。特に目当てや目的はなく、その時その時に目に留まったものを2~3冊パパッと借りている。

それで今回読了したのは、『角川インターネット講座 (2) ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化』(まつもとゆきひろ監修)。タイトルには「ネットを支えるオープンソース」とあるが、本書の主に後半で語られているのは、どちらかというと「インターネットによって支えられ発展したオープンソース」であり、そういう点で最初に本書を手にした時の印象とは若干食い違いがあるかな、と思った。

まあしかし、ハッカー文化を源流とするオープンソース発展の歴史については簡潔によくまとまっており、日本のインターネット黎明期にちょうど大学生であった私には、これまでのおさらいという意味で楽しく読むことができた。「ああ、確かにオープンソースで公開されたばかりのMozillaをダウンロードして手元でビルドしてみたけどボロボロだったよな、懐かしい」って具合に。あと第3章「プログラミングと教育」は、自分の子供たちへ今後やらねばならんだろう教育についてよい示唆を与えてくれたと思う。

というわけで評点としては、一度手にして読んでみるべきという点では星4つ、でも他人に買わせて是非手元に置いておけと薦めるか、という点では若干下がるかなぁ、というところである。

 

 

角川インターネット講座 (2) ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化

角川インターネット講座 (2) ネットを支えるオープンソース ソフトウェアの進化

 

 

2015年06月06日のツイート